耐熱塗装とは

耐熱塗装について

機能や目的に合わせて耐熱性・耐候性のあるシリコーン樹脂入りの塗料を塗装することで耐熱性を上げるのが耐熱塗装です。
シリコーン樹脂はガラスと同じような-Si-O-Si-の骨核をもち、ケイ素原子にはメチル基、フェニル基などの有機基が結合しています。
-Si-O-Si-の結合は耐熱性、耐候性に優れており、たとえば耐熱顔料を配合したシリコーン塗料は250℃で1,000時間以上、とくにアルミニウム粉を加えた銀色塗料は600℃の高温に耐えられます。

また、シリコーン樹脂の耐候性は一般の有機樹脂に比較して格段に優れており、2年間曝露を行った後でも光沢の変化はほとんどなく、またチョーキング、黄変などは全く見られません。シリコーン樹脂はこれらの特長を持つほか、耐薬品性、耐水性、撥水性などにも優れた性質を有します。シリコーン樹脂には上にのべた純シリコーン樹脂のほかに、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などで変性したシリコーン樹脂があります。変性シリコーン樹脂は有機樹脂の性質により種々の特性のものが得られます。

耐熱性は純シリコーンに劣りますが、塗膜の密着性、機械的性質あるいは耐薬品性などが優れております。シリコーン樹脂の割合が20%以上になると耐候性が著しく改良され、またシリコーン樹脂の割合が多くなるとともに耐熱性が向上します。その他、耐水性も変性される有機樹脂によって著しく改善されます。

シリコーン樹脂は粘度が低く、顔料を容易にぬらす性質を持つため顔料を配合し、塗料化する作業はボールミル、三本ロール、あるいは高速度分散機などで容易に行うことができます。

リサージ、光明丹など鉛の酸化物顔料は貯蔵中または塗料製造中にゲル化させることが多いので注意を要します。変性シリコーン樹脂の場合は使用できることもあります。またジンククロメート、塩基性硫酸鉛のような防錆顔料はシリコーン樹脂の耐熱性を減少させます。

耐熱性と耐候性

●耐熱性
シリコーン樹脂の第一の特長は耐熱性が優れていることで、200℃まではほとんど熱分解を起こさずに変色がなく、白色塗料あるいは、着色塗料用ビヒクルに使用できます。アルミニウム粉を配合した銀色塗料は純シリコーン樹脂をビヒクルとし600℃、変性シリコーン樹脂を使用し400~450℃に耐えます。
煙突、船舶用スチームパイプ、各種炉、オーブン、ガス器具、発動機、排気管、化学工業の各装置、ボイラー、モーター、電気器具、抵抗器、各種放熱器、あるいはジェットエンジンの外装保護塗料に使用されます。
変性シリコーン樹脂の場合耐熱温度はシリコーン樹脂の含有量、変性された有機樹脂の種類により異なり、また加熱による変色の度合も異なります。
シリコーン樹脂の含有量が多くなると加熱による光沢、色の変化は少なくなります。

●耐候性
シリコーン樹脂の第二の特長は一般有機樹脂にくらべ耐候性が著しくよいことであります。
耐候性を目的とした塗料用ビヒクルには変性シリコーン樹脂を利用するとよく、シリコーン樹脂が全樹脂中の20%以上になると塗膜のチョーキング、黄変、光沢の保持性などの耐候性が著しく改良されます。

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